30 スタイルとパッドのレコーディングとエディット
スタイルとパッドの概要
スタイルとパッドは、コード演奏時に本機の内部アレンジャーが自動的に演奏してライブをサポートする音楽パターンです。 本機には本格的なスタイルとパッドが数多く提供されています。自由にカスタマイズすることも、まったく新しいオリジナルのスタイルやパッドを作成することもできます。 スタイルとパッドはレコーディング/エディット操作とほぼ同じ構造です。ここではスタイルやパッドの成り立ちについて説明します。スタイルの概要
トラックとバーチャル・ミュージシャン
スタイルでは最高8人のバーチャル・ミュージシャンを演奏することができます。それぞれが1つのトラックに録音されます。ベース、ドラム、パーカッション、5つのアカンパニメント・トラック(ストリングス、ギター、ピアノ他)を準備しています。 ドラムとパーカッション・トラックはトランスポーズされません。ベース・トラックはハーモニー・ルート専用です。トラックの種類を選ぶことができます(「トラック・タイプ、トリガー、テンションのエディット」参照)。 専用エディターを使って自由に設定できる特別なギター・トラックもあります(「ギター・トラックのレコーディング」参照)。 それぞれのトラックは、スタイル・エレメント(SE)とコード・バリエーション(CV)に整理されている音楽パターンを演奏します。スタイル・エレメント(SE)
スタイルは一連のスタイル・エレメント(イントロ、バリエーション、フィル、エンディング…)からなり、それぞれがソングの一部分に対応します。バリエーションはAメロやBメロに使用できます(つなぎと即興パッセージは除きます)。 次のようにしてスタイル・エレメントを選択します。- コントロール・パネルの左下の対応するSTYLE ELEMENT キーを使用します。
- ディスプレイのStyle Elementsページで対応するキーにタッチします(コントロール・パネルの右上のSTYLE ELEMENT / MARKERキーを押してアクセスします)。
- オート・フィル機能によって自動的に選択されます。
コード・バリエーション(CV)
各Style ElementはChord Variationsによって構成されています。それぞれのスタイルやパッド・トラックに、異なるコード・バリエーションを持たせることができます。コード認識エリアでコードを弾くと、アレンジャーが鍵盤をスキャンし、演奏中のコードを検出します。それから、選択しているスタイル・エレメントに応じて、各トラックに、認識コードに対して演奏する正しいコード・バリエーションを選択します。 例えば、バリエーション1選択時にCメジャー(C)を演奏すると、アレンジャーはVariation 1のCメジャーコードに対応するコード・バリエーションを選択します。Fill 2が選択されているときにCメジャーを演奏すると、アレンジャーはFill 2のCメジャー・コードに対応するコード・バリエーションを選択します。コード・バリエーション表
各コード・バリエーションが認識されたコードにどのように関連付けられるかは、Chord Variation Tableによって決定します。各スタイル・エレメント・トラックに自由に設定できるコード・バリエーション・テーブルがあります。下の表を参照してください。コード・バリエーション | コード・バリエーション(CV) | |
---|---|---|
バリエーション1~4 | イントロ1〜2、フィル1〜4、 ブレーク、エンディング1〜3 | |
Major | CV1~CV6 | CV1~CV2 |
6 | ||
M7, ♭5, M7(♭5) | ||
sus, sus2, M7sus | ||
m | ||
m6 | ||
m7, m7(♭5), m(M7) | ||
7, 7(♭5), 7sus4 | ||
dim, dim7, dim(M7) | ||
#5 | ||
7(#5), M7(#5) | ||
omit 3, omit 5 |
コード
(コード・バリエーション・テーブルに基づき)演奏するコード・バリエーションを決めたら、アレンジャーは各トラックの正しいパターンをトリガーします。各パターンはそれぞれ特定のキー(調)で作られています(例:Cメジャー、Gメジャー、Eマイナーなど)ので、アレンジャー機能はスキャンされたコードに合わせてこれをトランスポーズします。パターン内のノートは慎重にトランスポーズされ、すべての認識されたコードと音が合うものになります。コード演奏を始めると…
要約すると、コード認識領域でコードを演奏すると、アレンジャーがどのスタイル・エレメントが使用されているかを確認し、トラック内の認識されたコードにどのコード・バリエーションを使用するかを決定します。それからコード・バリエーションのパターンがトランスポーズされ、認識されたコードに合うものになります。コードを弾くたびにこれが行われています。スタイルのレコーディング
スタイルのレコーディングとは、各トラックののコード・バリエーションをレコーディングするということで、各スタイル・エレメントにも同じことが言えます。 すべてのトラックスタイル・エレメントにあるすべてのコード・スタイルをレコーディングする必要はありません。一般的には各スタイル・エレメントで1つのコード・バリエーションをレコーディングするだけで十分です。 但し例外として、Intro 1、Ending 1については、メジャー系とマイナー系のコード・バリエーション両方をレコーディングすることをお勧めします。スタイルの構造
スタイルの構造は、下図のようにツリーを使って説明できます。パッドの概要
パッドについて
パッドは基本的に、1トラックでスタイル・エレメントが1つだけのスタイルです。スタイルのレコーディングで使用できる機能のほとんどはパッドのレコーディングでも使用できます。パッドには、ループ・タイプ ( )とワンショット・タイプ ( ) という2つの異なるカテゴリーがあります。パッド・タイプ | 意味 |
---|---|
Loop | 1トラックのパターン。鍵盤上で別のコードを演奏して、トランスポーズさせることもでき、これはスタイル・トラックとまったく同じです。ドラム・トラックも可能ですが、トランスポーズされません。 |
One Shot | 1回のヒット。トランスポーズをさせないイベントがほとんどですが、トランスポーズさせることもできます。基本的には単音やワン・コードのパターンです(下記参照)。 |
パッドの構造
パッドの構造は1トラックのスタイル・エレメントで、下図のようにツリーを使って説明できます。パッドのレコーディング
パッドのレコーディングとは、パッド・トラック用にコード・バリエーションを録音するという意味です。すべてのコード・バリエーションをレコーディングする必要はありません。多くの場合、1つのコード・バリエーションをレコーディングするだけで十分です。対応MIDIデータ
スタイルとパッドのレコーディング時には、対応していないイベントはフィルタリングされます。スタイルとパッドのレコーディングに対応したイベントは下表のとおりです。対応MIDIデータ | CC# |
---|---|
Note | |
RX Noise | |
Pitch Bend | |
Channel After Touch | |
Modulation 1 (Joystick Y+) | 1 |
Breath/Modulation 2 (Joystick Y–) | 2 |
Pan | 10 |
Expression | 11 |
CC#12 | 12 |
CC#13 | 13 |
Ribbon | 16 |
Damper (Hold 1) | 64 |
Filter Resonance (Harmonic Content) | 71 |
Release Time | 72 |
Attack Time | 73 |
Low Pass Filter Cutoff (Brightness) | 74 |
CC#80 (Pa5X Sound Controller 1) | 80 |
CC#81 (Pa5X Sound Controller 2) | 81 |
CC#82 (Pa5X Sound Controller 3) | 82 |
A/B Master FX 1 (reverb) send level | 91 |
A/B Master FX 2 (modulation) send level | 93 |
A/B Master FX 3 (free) send level | 94 |