MIDIの紹介
ポート、チャンネル、メッセージ
MIDIについて
MIDIは、Musical Instruments Digital Interfaceの略です。2台以上の楽器、またはパソコンと様々な楽器を接続できるインターフェイスです。
ソフトウェアの観点から見ると、MIDIは音を演奏したり制御したりするためのメッセージを記述するプロトコルです。いわば異なる楽器やパソコンに同じ言語で会話をさせ、一方が他方に何をすべきかを伝えるための一種の文法ともいえます。
物理的な観点から見ると、従来のMIDIインターフェースやUSBポート(MIDI端子を1つの端子とケーブルに置き換えるコネクタ)を使用してMIDIメッセージをやり取りします。パソコンやタブレット、外部コントローラーをひとつのUSBケーブルで接続できます。
本機は、特別なソフトウェアを使用することなくパソコンと接続することができます。しかし、MIDI機能のすべてをフルに、簡単に使用するためには、KORG USB-MIDI Driverをパソコンにインストールすることをお勧めします。ウェブサイト(www.korg.com)からダウンロードできます。
MIDIから音声信号は送信されません。MIDIは制御メッセージのみで構成されます。
チャンネルとメッセージ
基本的にMIDI、またはUSBケーブルでは、16チャンネルのデータを送信します。それぞれのMIDIチャンネルは、TVチャンネルのように考えてください。受信機は、送信機と同じチャンネルに設定する必要があります。MIDIメッセージについても、同じことが言えます。ノート・オン・メッセージをチャンネル1で送信する場合、そのメッセージは、チャンネル1でのみ受信します。これにより本機はマルチティンバーが可能になり、同一のMIDI楽器で複数のサウンドを演奏させることができます。1つにつき1つのMIDIチャンネルです。
メッセージにはさまざまな種類がありますが、ここでは、最もよく使用されるものを紹介します。
MIDIメッセージ | CC# | 意味 |
---|---|---|
ノート・オン | 指定のチャンネルでノートを演奏するよう楽器に指示するメッセージです。ノートは音名(C4は中央Cの音程)と対応した番号(60がC4に該当)で表します。ノート・オフ・メッセージは、「弾いていたキーボードから手が離れた」というメッセージです。 ノート・オン・メッセージとベロシティの値を常に送信します。この値は、そのノートを演奏する音量です。 |
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ピッチ・ベンド(PB) | ジョイスティックをX軸方向に動かすと、このメッセージが送信されます。音程が上または下に変化します。 | |
プログラム・チェンジ (PC) |
サウンドを選択すると、プログラム・チェンジ・メッセージをそのチャンネルで生成します。このメッセージをコントロール・チェンジ00と32と一緒に使用すれば、シーケンサーやマスター・キーボードからリモートで本機のデータを選択することができます。 | |
コントロール・チェンジ (CC) |
楽器のパラメーターのほとんどをコントロールする多様なメッセージです。以下に例を挙げます。 | |
バンク・セレクトMSB | 00 | このメッセージのペアはサウンド・バンクを選択するのに使用されます。プログラム・チェンジ・メッセージと一緒に使ってサウンドを選択します。 |
バンク・セレクトLSB | 32 | |
モジュレーション | 01 | ジョイスティックを奥側(向こう側)へ倒すのと同じです。通常はビブラート効果を生みます。 |
ボリューム | 07 | チャンネルの音量を設定します。 |
パン | 10 | チャンネルのステレオ音像での位置(定位)を設定します。 |
エクスプレッション | 11 | トラックの相対的な音量を設定します。最大値は、CC07コントロールの現在の設定に一致します。 |
ダンパー・ペダル | 64 | ダンパー・ペダルの動作をシミュレートします。 |
テンポ
テンポはグローバルMIDIメッセージで、特定チャンネルに限られたものではありません。各ソングにはテンポ・データが含まれています。
歌詞
歌詞メタ・イベントは演奏する音楽の進行に合わせてテキストを表示させるものです。本機では市販の歌詞データ形式のほとんどを読み込めます。
MIDI規格
スタンダードMIDIファイル
スタンダードMIDIファイル(SMF)は異なる楽器やパソコンとの間でソング・データのやりとりをする上で実用的なものです。本機はデフォルトのMIDIソング形式としてSMF形式を使用するため、パソコンからソングを読み込んだり、パソコンのソフトウェアで読めるソングを問題なく保存することができます。
また、本機の内蔵プレーヤーはSMFフォーマット0(全データを1トラックに収容した、一般的なフォーマット)と、フォーマット1(マルチトラック)に対応しています。SMFファイルをホームページから読み込んでSong Editモードでエディットや保存ができます。曲はSMFフォーマット0で保存されます。
本機は、SMFの歌詞やコードを市販の形式で表示することができます。
通常、スタンダードMIDIファイルは、ファイル名に「.MID」または「.KAR」拡張子がついています。
General MIDI規格
スタンダードMIDIファイル(SMF)フォーマットに加えて、General MID(I GM)企画により、楽器間のさらなる標準化が可能になります。これは基本的なMIDI規格を拡張し、楽器間の互換性に関して基本的な規格を定めたものです。
> 最低16のMIDIチャンネルが必要です。
> 正しい順序で並んだ128のサウンドの基本セットが必須です。
> ドラムキットは標準のノート構成に従う必要があります。
> チャンネル10は、ドラム・キット専用にする必要があります。
本機は、GM1およびGM2規格に対応しています。
XG™規格
本機は、XG規格のサウンドとドラム・キットに対応しています。
グローバル、コントロール、コードチャンネル
コントロール・チャンネル
MIDI INチャンネルをコントロール・チャンネル(Settings > Menu > MIDI > MIDI IN Channelsページで設定)として設定して、外部機器からスタイルやキーボード・セット、ソングブック・エントリーを選択できます(本機の内部データに対応するメッセージのリストについては、付録をご覧ください)。このチャネルでは、コントロールを送信してプレーヤーを開始/停止し、スタイル・エレメントを選択することもできます(詳しくは後述します)。
MIDI OUTチャンネルは、コントロール・チャンネル(Settings > Menu > MIDI > MIDI OUT Channelsページで設定)として設定すると、ソングブック・エントリーを選択しているときにメッセージを送信することができます。
グローバル・チャンネル
任意のMIDIチャンネルをグローバル・チャンネルとして設定でき(Settings > Menu > MIDI > MIDI IN Channelsページで設定)、本機統合キーボードをシミュレートできます。
例えばマスター・キーボードに本機を接続して演奏する場合、グローバル・チャンネルでMIDIメッセージを送信します。
グローバル・チャンネルで受信したMIDIメッセージは、本機のSPLITキーの設定と、スプリット・ポイントの影響を受けます。このため、SPLITキーのLEDが点灯している場合、本機が受信したノート・データはスプリット・ポイントを境にアッパー(スプリット・ポイントよりも高音/右側)とロワー(スプリット・ポイントよりも低音/左側)のパートに分割されます。
また、グローバル・チャンネルで受信したノート・データは、自動伴奏のコード認識に使用されます。SPLITキーのLEDが点灯している場合、コード認識はスプリット・ポイントよりも低音(低音スキャンモード)または高音(高音スキャンモード)のパートでのみ使用します。
コード1とコード2チャンネル
コード認識用受信チャンネルとして、2種類の特別なコード・チャンネル(Settings > Menu > MIDI > MIDI IN Controlページで設定)を使用できます。これらのノートはグローバル・チャンネルで受信されるノートと組み合わすことができます。
グローバル・チャンネルとは異なり、コード・チャンネルはスプリット・ポイントの影響を受けません。しかし、SPLITキーのオン、オフによってコード・チャンネルでのコード認識モードが下表のように変化します:
SPLITキーの状態 | コード認識モード |
---|---|
On | Settings > Menu > Preferences > Styleページのコード認識パラメーター(Chord Recognition)の設定に従います。メジャー・コードの指定は単音でできます。 |
消灯 | コード・チャンネルを使用する以前の設定によって、コード認識モードが常にFingeredまたはExpertに固定されます。コードの指定には最低3音を押さえる必要があります。 |
コード・チャンネルは特にアコーディオンで、左手で演奏するコードとベースを別々のコード・チャンネルを設定する場合に便利です。コードとベースをそれぞれのコード・チャンネル(1と2)に設定すると、それぞれの演奏を自動伴奏のコード指定に利用することができます。